デジタル聴診デバイス「ネクステート」、歯科麻酔領域での呼吸モニタリングにおける有用性が国際学術誌で発表
- 峯 啓真
- 6月9日
- 読了時間: 3分
新潟大学歯科麻酔科による研究成果が『Journal of Dental Anesthesia and Pain Medicine』に掲載
弊社のデジタル聴診デバイス「ネクステート(SDNX-01G)」を用いた歯科治療中の静脈内鎮静における呼吸モニタリングシステムの有用性について、新潟大学大学院医歯学総合研究科歯科麻酔科の岸本直隆先生らの研究グループによる論文が、国際学術誌『Journal of Dental Anesthesia and Pain Medicine』(2025年6月号)に掲載されました。
研究の背景と意義
歯科治療における静脈内鎮静では、使用される薬剤(ベンゾジアゼピン系薬剤やプロポフォール)による呼吸抑制作用が重要な課題となっています。従来の視覚的な胸部・腹部の動きによる呼吸モニタリングは信頼性に欠け、カプノグラフィーや音響モニタリングなどの高価な医療機器の導入は、多くの歯科クリニックにとって経済的負担が大きいという問題がありました。
ネクステートを活用した革新的なモニタリングシステム
今回の研究では、約380米ドル(約57,000円、2025年2月時点)という手頃な価格のネクステートを用いて、以下の特長を持つ呼吸モニタリングシステムが開発されました。
システムの特長
ワイヤレス機能: Bluetoothヘッドホンとの連携により、麻酔科医が患者から離れた位置でも継続的な呼吸音モニタリングが可能
軽量・コンパクト: 約60gの軽量設計で患者の負担を最小限に抑制
優れた汎用性: 小児用聴診器のチェストピースを装着可能で、成人・小児問わず幅広い患者に対応
オープンイヤー設計: 治療チーム間のコミュニケーションを阻害することなく、同時に患者の呼吸音を監視

臨床での実証 新潟大学歯科麻酔科では、静脈内鎮静下で歯科治療を受ける5名の患者に対してこのシステムを適用し、問題なく機能することを確認しました。患者の頸部(胸鎖乳突筋と甲状軟骨の間)にチェストピースを装着することで、明瞭な呼吸音の聴取が可能となりました。
歯科・麻酔科領域への貢献
歯科領域での意義
歯科クリニックでも導入しやすい価格帯での高品質な呼吸モニタリングを実現
歯科治療特有の制約(術野へのアクセス、治療時間の長さ)に対応したワイヤレスシステム
静脈内鎮静の安全性向上により、歯科恐怖症患者への治療選択肢を拡大
麻酔科領域での価値
従来の高価なモニタリング機器に代わる、コスト効果の高いソリューション
継続的な呼吸監視により、呼吸抑制の早期発見と合併症予防に貢献
治療チーム全体のワークフローを改善し、患者安全性を向上
今後の展望
岸本先生は「ネクステートを用いたこの呼吸モニタリングシステムは、低コストで導入可能でありながら継続的な呼吸監視を可能にし、呼吸抑制に関連する様々な合併症の予防に寄与することが期待される」とコメントされています。
本研究成果は、歯科・麻酔科領域における患者安全性の向上と、より多くの医療機関での鎮静法の安全な実施に大きく貢献するものと期待されます。
論文情報
タイトル: "Respiratory monitoring during intravenous sedation using a digital auscultation device"
著者: Naotaka Kishimoto, Toru Yamamoto, Rina Sakagami, Kenji Seo
掲載誌: Journal of Dental Anesthesia and Pain Medicine
巻号: Vol.25, No.3, pp.215-217 (2025年6月)
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